飛んだ発想

思うに、魔女がほうきにまたがって空を飛ぶというのは何処から来たのやら。安易にほうきを描けば、何となくそれっぽくなってくるのだが、それだと似たり寄ったりでオリジナリティーが無い。下手にオリジナルを追求してみても、完成形は何処かしら似通ったものになることも考えられる。となると、手っ取り早くオリジナリティーを全面に出す安易な方法として、ほうき以外の物にまたがらせて飛ばせてしまえば良い。
そんな訳で、自在ほうきや掃除機やスーパーはぼきやらに乗せて飛ばしてしまうのもアリかと。掃除用品に限定しているあたりが保守的な気もするが、まあこの際細かいことは良い。いっそ棒なら何でも良いことにして、竿竹にまたがらせれば描くのも楽だな。
まてよ、そう言えばそもそも「魔女」が上に乗っていなくても良いのだよな。ここは「猫」でも一匹描いて、竹竿に乗せて空を飛ばしてやっても良いかと。うん、かなりオリジナル、というかアバンギャルドだ。
しかしこれ、こうして自由な発想で「竿竹にまたがって空を飛ぶ猫」を絵にしたとして、まあ、見た人の感想は「ナニコレ?」に集約されるんだよな。そこで一々状況の説明が必要になる辺り、自由な絵は厄介な部分があるわな。
それに比べると、魔女がほうきにまたがって飛んでいる絵というのは、それに対して何の疑問も生じないので、気楽に描ける絵なのかもしれない。只何となくそんな絵を描いてみて、只何となくそんな絵が完成するみたいな具合に。しかしこういった感じの絵を描いてみると思うのは、別にそもそも魔女が描きたい訳ではなく、只何かを描きたいだけだったのだよと*1
突拍子も無いものを描くと説明に困り、説明の要らない絵は面白みが薄い。こいつをどうしようかと思ったのだけれど、「ほうきにまたがっている魔女」と「竿竹にまたがっている猫」を並行して飛ばしてしまえば良いのだよな。前者が固定的なイメージを喚起してくれるので、後者はその連想として何となく納得するみたいな。今回は只の連想から生んだイメージだから、特に連想しやすいけれど、これは始めに突拍子も無い物が浮かんだときに、逆連想で固定イメージにまで持っていくこともできそうだな。でもこの一連の作業って、結局は突拍子が無い物について説明をしていることと余り変わらないな。

*1:題材が特に無かったので、安直に選んだとも言う